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何でもない日に思う事

何でもない日に思う事。

最近、中々ブログを書く機会もなく、新しい毎日に向かい会う日々でした。

新しい宿泊施設をするということは、今まで新しく飲食店を出してきたのとは違い、

僕自身に、新しい日常が生まれるようなそんな体験でした。

今の直島での生活は、たくさん日常に変化を与えてくれました。

それは、一つに、生花を始めたこと。

お客様の前に立って接客したり、

お寿司を握るようになったこと等から始まりました。

今、僕は朝起きるとヨガと瞑想をします。

その後やっていた英会話の勉強は最近すっかり辞めてしまい、

出来るだけ早くろ霞へといくように勤めています。

ろ霞では、朝一番に生花用の花を取りに行きます。

最初の頃は、社員と一緒に住んでいる寮から

歩いて行く際に花を摘んでいましたが、

最近は夏になってきたせいか、山に花が見つからなくなってしまい、

ろ霞の裏山に生えている竹林から竹を切ってきて、

作家の茂田さんの作品に生花をします。

生花の途中でミーティングによばれるので、

社員と昨日の振り返りを行い、反省点や改善点を話し合います。

それから生花の続きをやり、次は庭の水やりをやったり、

最近は畑を始めたので畑の草むしりや苗を植えたりしています。

ここで育てた野菜をお客様に召し上がっていただくのが、

最近の生きがいになっています。

そして、夕方からは調理場に入り、寿司の準備をします。

寿司はスタッフの祥吾くんが、今は僕よりずっと上手に握れるようになり、

しばらく出張に出ているとメニューもどんどん変わっていて

ちょっと着いていけないと、尻込みする事もあります。

夕食の時間が終わると、囲炉裏へ行ってお茶を出し、

色々なお客様とお話をします。

今日は、季譜の里へ戻ってきています。

季譜の里は、今、とても変わってきました。

今日、ミーティングに出ると、20組ほどのお客様がいましたが、

食事の変更を8割のお客様から頂いていました。

好き嫌いやアレルギーなどを予約の時に聞くのですが、

以前からそれにはすべて対応していましたが、

前は1割にも満たない変更でした。

しかし、今の8割のお客様の変更に対して、

調理場も接客係も、お客様の好みがあるから、お客様の顔も覚えられるし、

コミュニケーションも広がって逆に仕事が楽しいと、

とても前向きな姿勢を見せてくれました。

僕が旅館を始めたのは28の歳からです。

東京での仕事から戻り、

田舎の人たちとの馴染めないやりとりに四苦八苦しながら

もうすぐ20年が経とうとしています。

本当にあっという間でした。

帰ってきた当初は本当に大変でしたが、

今では、自分を囲んでくれるスタッフたちや、

旅館の仕事が、いつの間にかたくさんの幸せを

与えてくれるようになりました。

人間の成長というのは、植物の成長と全く同じように思えます。

少しずつ成長していきながら、いろんなところを伸ばしていきがなら、

乗り越えなければならない困難を乗り越えて、

一つまた成長するごとに、木なら節ができたり、新たな枝ができたり、

アーティストなら新しい作品が生まれるのかもしれません、

何らかの形を残して、自分の形ができて行くのだと思います。

日本人はとても美しい生き方をしていると思います。

それは先人の生きた証を引き継いで、新しいものを作って行く過程で、

尊敬という感情を抱き、それをきちんと表現するからです。

きっとそれがあるから、安らかに死ねるんじゃないかと思います。

一人一人の誰の人生にも無駄はなかったと、思えるのもそのお陰かもしれません。

少し話しが感情的になってしまいましたが、

感謝の気持ちでいっぱいの毎日を送れています。

さて、直島へ帰ったら、施設の修繕作業が待ってます。

季譜の里の屋上庭園より

A&C株式会社

代表取締役 佐々木慎太郎